開閉可能な落下防止の安全対策手すり3選

驚くべき話ですが、昔の倉庫には二階に手すりがついていないことが多かったんですよね。
平成生まれの筆者には馴染みがないですが、昭和から平成の初期に作られた倉庫にはついていないことが多々あるそうです。
当然昔は落下事故が多く、当社にも後付けで手すりや安全策のご依頼がよく来ていたそうです。
(実は令和の今でも昔の倉庫に手すり安全柵を付けてほしいとご依頼がありますが。)

で、そういった話をしたときによくあるのが「1階と2階でフォークリフトを使って荷物の受け渡しをするので、手すりに開口部も作ってほしい」とのお話。
昇降機などがついていないのでそうしたいとのことなんですが、倉庫の運用をされる方って本当に色々工夫をした運用を考えていらっしゃると感服します。
今回はそういった昔の倉庫や、あとは中二階なんかに使える開口部を設けた手すり・安全柵についてご紹介いたします。
開口部のある手すりや安全柵を検討中の方はぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

開閉式手すりの特徴

ここではただ開口部を開けた手すりではなく、開閉ができる手すりをご紹介します。
2階なので開口部をつけるとしても、そこから落下してしまう危険性があるので、開閉式手すりにすることをおすすめします。
開口式でも倉庫の形状によっても、おすすめする開口方法が変わってきます。
今回はおすすめする開口式の手すり3選を詳しくご紹介いたします。

スライド式手すり

スライド式手すりはキャスターやレールで左右に開閉させることができる手すりです。

メリット
スライド式手すりのメリットとしては、手すりのレールに沿って開閉を行うため、開放時のスペースが必要ない点です。
ドアのように開閉を行う手すりだと、手すりの長さだけ余分にスペースが必要となり、周りに設備や荷物を置くことができなくなります。

デメリット
手すりが開くと、手すりがレールに沿って移動するので、レールの長さは手すりの2倍必要になります。
短い手すりなどでは開放時の長さが確保できないため、スライド式手すりは向きません。
また、地面が水平でないとレールがまっすぐにならないため、手すりの開閉ができなくなってしまいます。

両開き式手すり

両開き式手すりは、左右の手すりが門のように開きます。

メリット
他の開閉方法の手すりより作りが単純であるため、簡単に導入できます。

デメリット
観音開きをするため、スペースが足りない場合は両開き式手すりは導入ができません。また、手すりが動く動線上に物を置くことができなくなります。
手すりが長くなれば自重が増えるため、支柱への負荷が大きくなり、長い年月が経つと曲がってしまう可能性があります。

折戸式手すり

折戸式手すりは扉のように手前に引いて開く手すりで、中間の長さで折れるようになっています。
折戸式ではなくまっすぐに開閉すると、支柱に対して弧の字に手すりが動くため、手すりの長さだけスペースが余分に必要となります。
このように折れるようにすることで、手すりの長さいっぱいにスペースが必要なく済む仕様となります。

メリット
長い手すりを片開きで、かつ省スペースで製作することが可能なので、角の手すりなどに向いています。

デメリット
手すりが動く動線上に物を置くことはできません。
折戸式手すりは手すりが長くなれば自重が増えるため、支柱への負荷が大きくなり、長い年月が経つと曲がってしまう可能性があります。

納入事例

スライド式手すり納入事例

こちらのお客様は、一階と二階の荷物の受け渡しをフォークリフトで行っていましたが、手すりがなく、作業員が落下の不安を持っていたためスライド式手すりを導入しました。
樽型のローラーを採用し、開閉時の意図しない前後への動きの制限と、左右へスムーズに動くように設計しました。
扉のように扇状の開放スペースが必要ないため、手すりの付近にも荷物を置くことが可能です。
このように、固定されている手すりの真ん中に開閉する手すりを導入する場合は、スペースが最も少なく済むスライド式手すりがおすすめです。

両開き式手すり

両開き式手すりは、手すりの重さで支柱が曲がってしまうと開閉に支障が出るため、支柱と手すりの先を加重分散の部材で繋ぎました。
強度計算をしっかりと行い設計しており、これによって長年の利用にも耐えられる仕様となっております。
不使用時に誤って開かないように、打掛の鍵と、門落とし(フランス落とし)もつけております。
なお、手すりの付近に荷物を置かないようにトラ柄のテープを貼っています。

折戸式手すり

こちらは二階の角になっている部分に、省スペースで開けるように折戸式手すりを導入しております。
折戸式手すりは長くなると、手すりの重さが支柱に負荷としてかかるため、折戸の部分に加重分散用のワイヤーを取り付けています。
加重分散用の支柱の長さやワイヤーの強度は強度計算をしっかりと行い、長年の利用にも耐えられる設計で製作しました。

まとめ

開閉用の手すりにはいくつか種類があり、倉庫や工場の間取りによって適したものが変わります。
自社の手すりにどの種類が適しているかをしっかりと見極めましょう。
設計には非使用時に誤って落ちないように鍵などがついていたり、経年劣化による事故が起きないよう長年の利用に耐えられる強度である必要があります。
事故を防ぐような仕組みや強度計算が難しい方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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