物流設備の解体・移設・撤去・買取・原状復帰について各種設備ごとに詳しく解説

倉庫を運営していると様々な理由により撤退や移転が発生することがありますよね。
倉庫が軌道に乗って今の倉庫より大きな倉庫への移転や、うまくいかなかったため小さな倉庫への移転、それから複数拠点の倉庫を集約など、ポジティブな理由からネガティブな理由まで様々あると思います。
そんな撤退や移転の際に物流設備の解体や移設などが必要となってきます。

物流機器の解体や移設はその物流設備によって気を付けるポイントが異なってくることがあります。
当社では物流機器の解体を30年以上に渡ってたくさんのご依頼をいただきました。

そんな解体や移設について実際の事例を交えながら解説をしていきます。
現在解体や移設、それに原状復帰や買取を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

各種物流設備について

パレットラック

パレットラックは重量物を保管できる頑丈で大きなラックなため、解体の際には事故に注意する必要があります。
誤った手順で解体を行うと、ビーム(横梁)が落ちたり支柱が倒れたりなどの危険性があるため、手順を守って行う必要があります。
高所での作業となり危険も伴うため、安全帯を着用し、手順に沿って複数人で作業を進めます。

まずはパーチクルボードや天繋ぎなどパレットラックに取り付けられたオプションを取り外していきます。

続いてサブビーム(デッキチャンネル)という縦の補強梁を取り外していきます。

続いてビーム(横梁)を撤去。

その後に支柱を撤去していきます。
アンカーボルトを撤去すれば撤去完了です。

撤去完了です。

スチールラック (中量ラック)

スチールラックはパレットラックよりは小さいラックです。
現在広く使われているスチールラックはボルトを使わない構造が主流となっているため、以前と比べ部材が少なく簡単に解体や組立てが可能となっております。
なので、1台、2台程度であれば自分で解体や組立てが可能です。
ただ、たくさんのラックを配置している場合は少人数での解体は難しく、別の部材と混同しないように部材ごとにまとめて、効率的に解体をしていかないと時間が膨大にかかってきてしまうため注意しましょう。

部材ごとにまとめて移設先倉庫へ運搬

中二階 (メザニンラック)

倉庫内に架台を設置して仮に二階を作る中二階。
中二階は建築基準法としてはグレーゾーンの製品です。
通常、二階部分を作成するのであれば、きちんと増築申請を行う必要がありますが、古くから広く使われていることもあり、申請をせずに違法建築物としてそのまま使っているケースも中にはあります。

そんな中二階ですが、違法ということもあり解体して撤去を希望されることがあります。
中二階もラックと同じように安全に解体をしていくために、解体手順があります。
中二階を解体する場合は高所部分の作業もあるため、安全に解体工事を行うために工事業者の工程には注意しましょう。

こちらは大阪府の商社様でメザニンラックで中二階を作って使われていました。
平屋の倉庫で中二階を作成し、床面積を増やしてよりたくさんの製品を保管していましたが、倉庫の移設に伴い違法建築物であるメザニンラック撤去をご依頼いただきました。

まずは中二階の床面のフロア材を取り外していきます。

フロア材を取り外したら支柱やビーム(横梁)などを解体していきます。

解体した部材が作業の邪魔にならないよう、解体が済んだラックの部材から外に出していきます。

解体が完了しました。

解体した部材は廃棄のため、産業廃棄物処理業者へ依頼しました。
このとき廃棄物が違法な方法で処分されていないことを証明するマニフェストというものも取得しました。
マニフェストは交付されてから5年間保持しないといけないことが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (通称:廃棄物処理法)という法律で定められています。
しっかりと法律に適した方法で廃棄物の処理を行っていきましょう。

自動倉庫

自動化や省人化に大きく貢献できる自動倉庫もよく解体をご依頼いただきます。
保管能力・出荷能力ともに高く、人がいなくても稼働するため人材不足の昨今非常に注目されている製品ではありますが、
使用年数が長くなると修理などが難しくなったり、新しい倉庫への移転が難しい一面もあり、長く使ったけど撤去しますという声が多い印象です。

自動倉庫は背が高く、制御も多く入っているため解体には注意が必要です。
解体をスクラップ屋さんに頼む方もいますが、自動倉庫の構造を知らない方が解体を行うと倒壊に繋がる危険性もあり非常に危ないです。
その他にもガスを使った切断方法などを使ってはいけない箇所などもありますので、くれぐれも注意しましょう。

高所作業車を用意し、安全帯などを着用のうえ予め組んでいた工程通りに解体作業を進めていきます。

解体した部材はトラックに載せて撤去を行います。

電動移動パレットラック

電動パレットラックはスイッチを押すと自ら移動するラックで、荷物の出し入れを行うときにスイッチ一つでフォークリフトの通路を開けてくれる優れものです。
通路幅を最小限の確保で済む製品ですが、自動倉庫と同じく電子制御が入っていて移転が難しい製品です。
また、入出庫のたびに移動の時間が多少発生するため、求められる出荷能力に届かず解体するケースもあります。

まずはパレットラック部分を解体していきます。

上部のラック部分の解体すると、移動するベース部分を解体します。

解体が完了しました。

部材はまとめて買取を行います。
写真のようにで同じ部材でまとめると崩れることも防げます。

コンベアライン・ソーター

入出荷、検品、製造など製品が動くところにはコンベアラインが入っていると思います。
そんなコンベアラインもレイアウト変更や倉庫移転、撤退などにおいて解体を行うことがあります。

電気制御の入った駆動コンベアと呼ばれるコンベアを解体し撤去していきます。

トラックにまとめて撤去を行います。
コンベアも買取も可能で、買取金額を撤去費用に充当することができます。

簡易リフト・昇降機

簡易リフトや昇降機も建築基準法では厳しく規定されている商品の一つです。
大きさや人が乗ってはいけないことなど厳重に制限されています。
そんな昇降機やリフトは昔よく使われていたこともあり、今は違法建築物だからという理由で撤去のご依頼をいただくことが多くなっています。
昇降機はフロア間をまたいで建築されていることやピットを掘っていることなどもあり、原状復旧が重要となる製品の一つです。

こちらの昇降機は食料品メーカー様のもので、大きさが法律に準拠しないため撤去をご依頼いただきました。

まずは昇降機の撤去を行います。
2階の撤去部分から誤って人が落下しないように標識ロープを付けておきます。

撤去後は昇降機が埋まっていた土間の部分も含めて削ります。

後はコンクリートで埋め立てを行います。
ご希望の場合は周りの地面と色を合わせて、床の塗装を行うことも可能です。

間仕切り部屋

倉庫の建屋ではなく、パーテーションなどで壁や天井を作って間仕切り部屋を作ることも多いと思います。
後から事務所や検査室が必要となるケースや倉庫建築時に部屋を作ってもらうより遥かに安価で済む場合、あとはレイアウト変更も簡単な点から間仕切り部屋にはたくさんのメリットが存在します。
そんな間仕切り部屋も、レイアウト変更や契約の終了と同時に製品の検査室が不要になるケースなどから、解体や別の場所への移設などのご依頼がよくあります。
間仕切り部屋は自由な設計や組み換えが簡単なため、移設時の用途に合わせた設計や、照明や空調などの電気工事などが発生するため、解体や移設を行うときには電気工事が行えること、移設後の仕様設計をしっかりと行っていく必要があります。

こちらは様々な製品の加工を行うメーカー様の工場で、製品の検査を行う検査室の解体と撤去をご依頼いただきました。

電気やエアコンなどを取り外していきます。
室内に検査機器など大きな機械が入っている場合は、先に壁や天井を撤去しないと動かすことができません。
壁・天井の撤去時の塵や埃が入らないように中の機械をビニールなどで保護します。

天井を取り外した後、電気配線を取り除きます。

パーテーションを解体し、ここからさらに鉄骨部分を解体していきます。

解体と撤去が完了しました。

床面 原状復帰

物流機器や製造機械、人やフォークリフトで長年酷使された床は汚れたり傷が入ったりしていることも珍しくありません。
倉庫や工場を撤退するとき、賃貸の借主さんに床も原状復帰してほしいと言われることがあります。
そんなときは床面の原状復帰として、床の傷や凹みをならして塗装を塗り直す工事があります。

こちらのお客様は倉庫の撤退時、特に擦り切れていた床の箇所の修復と、塗装したラインを消してほしいと貸主様から言われたため、原状復旧工事の床の塗り直しをご依頼されました。

まずは床を研削機で傷や塗膜、ラインを削ってならしていきます。

削り終わったあとはプライマー塗装という上塗り塗料を均一にしっかりと密着させる下塗り塗装を行います。
プライマー塗装を行うと、未塗装の場合と比べて仕上がりの綺麗さや塗装の保ちが大きく変わります。

最後に防塵の塩ビシートを張り直して完成です。
見た目も新築のように綺麗になります。

解体や移設において注意すべきポイント

いくつかの解体や移設について紹介しましたが、共通して注意すべきポイントは事故の防止です。
事故が起きて依頼した会社の作業員が怪我をした場合でも大きな問題となります。
予定していた工期で終わらないことや責任問題などが発生する場合もあるため、厳重に注意をする必要があります。

依頼した会社がどのような工程でどのような安全対策を取っているかわからないかもしれませんが、
特に大きな物流機器などの解体は機器の構造や仕組みを知らないスクラップ屋さんなどに頼むと、想定しない倒壊や破損の危険性があります。

解体や移転は形に残らないためなるべく予算を削りたいところですが、一歩間違えれば大変な危険が発生する可能性があります。
物流機器の解体や移設を任せても本当に大丈夫か、慎重に業者を選定しましょう。

移設を機に生産性アップが可能

倉庫を移転するタイミングは倉庫の能力アップに貢献ができる最も良いタイミングです。
移設する物流機器のレイアウトを変更したりすることで、保管効率の向上や動線の見直しによって多額の金額を使わずに能力アップに繋がってきます。

例えば、移転した新倉庫で通常のスチールラックから天井いっぱいまで保管ができる高層ラックに入れ替えたりなど、
扱う製品や新倉庫の間取りなどによって最適な方法は様々ですが、たくさんの能力アップの方法があります。

滅多にない移転のタイミングですから、倉庫をさらにパワーアップする方法を検討してみましょう。

まとめ

倉庫の解体や移転には製品によって注意すべきポイントは異なりますが、事故や安全対策に注意をすべきという点は共通しています。
物流機器の解体を任せても大丈夫か慎重に業者を選定しましょう。
また、今回ご紹介した物流機器以外にもたくさんの種類の物流機器があります。
種類が多すぎるため当記事には書き切れませんでしたが、その他の物流機器に関しても解体や移設が可能となるものもありますのでまずは一度相談してみましょう。
倉庫の移転や集約、縮小が行われる理由は様々だと思いますが、いずれもより生産性・収益性の高い倉庫に進化させる目的だと思います。
次の倉庫では更なるステップアップのために新倉庫のパワーアップも相談できるかも含めて業者を選定しましょう。

当社では創業 30年で累計 2,500件を超える解体や移設、新倉庫での改善提案を行ってきました。
安全な工事を心がけており、新倉庫での改善提案や動線設計もご相談をさせていただいております。
何年も倉庫を運営していても、解体や移設は初めてという方が大半です。
多くの方が経験のない解体や移転に対して「失敗しないかな」と思われていますが、当社ではそういった心配を払拭し、新倉庫を生産性アップできる方法を一緒に考えたいと思っております。
ご相談やお見積りは無料ですので、まずはお気軽に下記問い合わせフォームからご相談ください!

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