「この暑さ、どうにかならないのか──」
夏が来るたびに、工場や倉庫、建設現場からそんな声が聞こえてきます。そして2025年6月、この“現場の声”に国が本格的に動き出します。
労働者の命を守るため、厚生労働省は「職場の熱中症対策」を罰則付きで義務化。一定条件下の作業環境において、企業には明確な対策が求められるようになります。
違反すれば、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金。従来の「努力義務」から「法的義務」へと、位置づけが大きく変わるのです。
新制度の対象となるのは、WBGT(湿球黒球温度)28度以上または気温31度以上の環境下で、1時間以上または1日4時間を超える作業。
つまり、ほぼすべての夏の現場が該当する可能性があると言えるでしょう。
では、具体的にどう対応すればいいのか?法令上の「報告体制の整備」「緊急時の対応手順」などに加えて、現場環境そのものの改善が重要になってきます。
今回は、特に効果の高かった2つの具体策をご紹介します。
奈良県のある工場。築50年超のスレート屋根の下、夏には室内気温が40℃近くまで達し、作業はまさに“サウナ状態”でした。
この現場では、屋根に発泡ウレタンを吹き付けた上で遮熱塗装を施工。結果、屋根表面の温度は50℃超から約35℃へと大幅に低下。
その効果は屋内にも及び、体感温度が劇的に改善。空調なしのエリアでも作業が可能になったとの声が上がりました。
さらに、輻射熱・伝導熱の抑制により、エアコンの効きもアップ。冷房コストの削減にもつながっています。
「屋根の工事なんて無理」と思われがちな古い建物でも、ウレタン吹付けという安全な工法なら導入のハードルはぐっと下がります。
広い工場内や倉庫では、せっかくの空調も空間全体に拡散してしまいがち。
そこで有効なのが、作業スペースを間仕切りして空調効率を高める「空調ブース」です。
必要な部分だけを冷やすことで、局所的に快適な環境を作れる上、エネルギー効率が向上し電気代削減も可能。
可動式の間仕切りなら、レイアウト変更や季節ごとの調整にも柔軟に対応できます。
“空気を区切る”というシンプルな発想が、熱中症対策をより現実的で効果的なものにしてくれるのです。
法改正はゴールではなく、スタートラインです。
対策を講じなかったことで事故が起きれば、企業の社会的責任が問われる時代になりました。
遮熱塗装や空調ブースの導入は、「やれることはやった」という企業姿勢を示す手段でもあります。
従業員の命と健康、そして企業の信頼を守るために。
今年の夏を、“変える夏”にしませんか?
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